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温泉小話第五話 江戸庶民のストレス発散    


江戸時代にはいると、生活水準の高まりとともに、農民、町の職人や商人が寺社詣に出かけることが多くなりました。当時は武士はもちろん、庶民が自由に旅行をできることなどできません。寺社詣というのは数少ない旅行のチャンスだったのです。寺社詣と旅行を兼ね、有名観光地を回り、”精進おとし”と称して有名な、温泉地に泊まりストレスを発散したのでしょう。

例えば、今の東京に住んでいた農民が伊勢詣ということで、途中箱根に一泊し、伊勢参りのあと、伊予の道後温泉に泊まり、帰路は大坂・京都を見物し、善光寺に参り草津温泉や伊香保温泉に泊まって帰ったということです。ちなみに、江戸時代のある年に伊勢神社に詣でた人は一日平均1390人だったという記録も残っています。

このような寺社詣は一人でしたのではなく、”講”という名の団体旅行だったのです。毎月一定の額を積み立て、一年または数年に一回、くじを引いたりして代表者が寺社参りをしたのです。有名な講には、寺社詣の対象により、伊勢講、金比羅講、富士講、湯殿山講、熊野講があり、その他いろいろあったようです。今の時代と比べるなら、少し前の海外旅行くらいの感覚だったのでしょうか。

 


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